2021年7月12日

[休載_4]全て持っている。ただ多すぎるだけだ

冷蔵庫、洗濯機、車、エアコン、テレビ。
物が増えれば豊かさが増えていた。
高品質低価格、大量に高速に効率よく。
そうやって私達は豊かになった。

しかし今はどうだろうか。
ミニマリスト、捨てる技術。
まるで物なんか無いほうがイイと言われているようだ。
いつの間にそうなった?いつからそうなった?
歯車が逆回転している。

私達が買い物をして部屋に物を置くたびに、豊かさが減っている。
ゴミ屋敷、汚部屋に近づくだけだ。
掃除の手間が増えるだけだ。
物には材料と工場が要り、梱包と運搬、販売も保管も修理も廃棄も。
金と時間と手間がかかる。
だが、それに見合った豊かさを増やせていない。

CDやDVDはダウンロードになった。
ソフトも本もダウンロードになった。
必要なのは物体ではなく、情報へのアクセス権になった。
必要なのは、IDとパスワードを覚えていることだけだ。

減らし、減らし、減らすのだ。
それは、物を増やして豊かさが増える世界とは違う。

パソコンやiPhoneは何が凄かったのだろうか。
あれは、電話と音楽プレイヤーとラジオと本とテレビと、、、
書ききれないほど全てのものを、一つにまとめた。
すなわち、他の全てを減らした。

何を足すかではなく、何を引くかだ。
私達はもう、最大まで満ち足りているのだ。

物が増えれば豊かさが増える世界は終わっている。
ギアが切り替わっていて、物を増やすと歯車が逆回転する世界にいる。

減らさないといけない。
部屋にあるもの、ポケットに詰め込んだもの。
カバンの中身、頭の中身、パソコンの中身。

増えすぎていて、大事なものが見えない。
Googleの検索機能を持ってしても、大事なものを検索できない。

何でもできる、どこへでも行ける、全てを持っている。
だが、何をすればいいのかは判らない。
それでは、何も持っていないのと、どう違うのだろうか。
歯車が逆回転していることに気づくべきだ。

私達は、すでに全てを持っている。ただ多すぎるだけだ。

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