2019年6月6日

メーカーとメイカー

メイカーズムーブメントという本が出たのが2012年だった。

私が3Dプリンタを実際に使ったのが2008年の最初で、そこから数年の世の中の動きはとても興味深かったのを覚えている。

 

ここ数年は、深センにも3回くらい行ったし、深センと東京と京都のメイカーフェアにも足を運んだ。

 

ムーブメントどうのなんて全くどうでもよくて、メイカーはその名前が付くずっと前からメイカーをやっている。

3Dプリンタができるずっと前から、メイカーはヤスリやハンダゴテを握っている。

東芝やNECやSONYやホンダの話を聞くと、あの人達は間違いなくメイカーで、それはもう歴史の教科書に出てくるぐらいの時代から、メイカーはメイカーだったのだと思う。

きっと、アップルやマイクロソフトも同じだろう。

 

昔話のように聞こえるそれは、現在の姿とまるで違う。

上に挙げた会社はメイカーではなくメーカーになった。

そして、人々はメーカーではなくメイカーを求めるようになった。

 

きっと、メーカーとメイカーは違うものだ。

メイカーはワクワクして面白くて、夢に溢れている。

それがクラウドファンディングに上がり、資金を集め、そして失敗する。

 

そこで必要なのは、メイカーの能力ではなくメーカーの能力だからだ。

部品調達、納期調整、製造工程管理、それらはメイカーがやりたかったワクワクとは違うものだ。

 

私は、メイカーの技術力はお金に繋がっていないように思う。

メイカーフェアのおもしろグッズでは、飯を食うことはできないのだ。

反対に、メーカーはもう技術屋ではなくなった。

メーカーは管理屋であって、そこにワクワクは無い。

 

モノづくりでも、プログラムでも、技術屋がプライドを持って仕事をして飯を食える世界には、残念ながらなっていない。

無いものは作ればいい。

それを変えられるのは、メーカーではなくメイカーだと思っている。

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