2012年10月27日

モノづくり幸福論(後編)

高価で貴重な商品や技術は、少しずつ珍しくなくなる。
誰でも安く作れる作れるようになって、儲からなくなる。

だから、もっと難しいものを作らなければならない。
もっと価値のあるものを作らなければならない。

先進国から新興国や途上国に役割が移っていく、そうやって流れてきた。

ところが、それが限界にきた。
品質はそこそこでいいから安くして欲しい。

モノや技術の発展や高度化が、価値と比例しなくなった。
苦労して良いものを作っても、それが幸福ではないと皆が気付き始めた。

安く安く安く安くなった。
一説では、モノづくりは先進国の仕事ではない。とまで言われた。

 

さて。
安くなったモノづくりは、どこへ行くのか。

 

安く安く安く安く、安くなったモノづくりはマイナスに転じる。

遊園地で魔法の杖を振り、携帯電話を作る。
モノを作って金を貰う時代は終わり、モノづくりは金を払う娯楽になる。

そんなバカなと思うかもしれないが「生産は中国の工場で安く」と言っていないだろうか。
それは「作りなんか金を払う価値が無い」と言っているのと同じ。
遊びになってもおかしくない。

モノづくりの生きる道は、コンテンツ。
モノづくりそのものをエンタテイメントにすることだ。
技術はパフォーマンス、美術や音楽と同じである。

音楽を経験者なら判ると思うが、大切なのは録音CD(モノ)ではなく。
歌うこと演奏すること(作り)そのものである。

美術や音楽、楽しさ。
今まで、価値の無いムダなものだと扱い切り捨ててきたそれが、幸福である。

(語弊があるかもしれないが、もしあなたの息子がミュージシャンを目指したら止めるのではないか?それは音楽に価値が無いと言っているようなもので、現状、多くの人がそう思っているだろう)

 

一つ大きな間違いがある。

モノづくりの本質は、モノではなく作りである。

製造を外注に投げて安くできればそれで良い。なんてのは間違っている。
製造を投げられた中国の工場側こそ、モノづくりの真価を見ている。

 

生産ラインに立つアルバイトを喜ばせることができるだろうか。
ギチギチの機密をUstreamで流せるだろうか。
何も知らないド素人に、作り方を面白おかしく説明できるだろうか。

 

作りを喜びとし、パフォーマンスをし、万人がクリエイターとなる。
人は、作りという経験を喜びとし、金を払う。
作り手の一部は、ヒーローとなり高い技術を披露する。
生き残るのは、そのシステムを構築した者だ。

万人がクリエイターならば、多くの人が作りを知る。
そうなれば、作り手の努力を理解する者は増える。
価値を理解し、適正な価格で買う。
今までと同じモノでも、そこからドラマを読み取り、多くの幸福を得るだろう。

 

今すぐそうならずとも、明日から生産ラインのアルバイトを大切にすべきだ。
職人をヒーローのように優遇すべきだ。
あなたが職人ならば、楽しいトークを身につけるべきだ。
それはそのまま、作ったモノの価値、宿る魂となる。

 

高品質低価格など求めてはいけない。

どんな高級チョコレートよりも、恋人の作ったチョコは価値がある。
どんな名画よりも、息子が描いた似顔絵は宝だろう。
下手くそでも良い。
難しいテクノロジーよりも、小学生の粘土遊びのほうがずっと、モノづくりの本質を突いている。

 

モノづくりの本質は、作りである。
モノは、幸福を価値を込める器である。

 

これが、私の描く新しい産業革命。
どうだろうか、変わる世界で生きる未来は描けるだろうか。

 

未来は不確定であり、決まった答えは無い。
これとは違う産業革命を説いた本はたくさんある。
是非手にとって欲しいと思う。
一人でも少しでもモノづくりに対する理解を深めてほしい。
それが産業革命への一歩。私の描く未来に近づくのだから。

      

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

はじめまして。
株式会社オリジナルマインドの島田と申します。
お世話になっております。

“どんな高級チョコレートよりも、恋人の作ったチョコは価値がある。
どんな名画よりも、息子が描いた似顔絵は宝だろう。
下手くそでも良い。
難しいテクノロジーよりも、小学生の粘土遊びのほうがずっと、モノづくりの本質を突いている。”

確かにその通りです。これ以外の文に関してもhayasakaさんのこの記事はものづくりの実情とその本質をよく言い当てているように思いました。

今後ともhayasakaさんのように、ものづくりを愛する方たちの力になれるように当社社員共々精進します。

素晴らしい記事を読ませて頂きました。
ありがとうございます。

株式会社オリジナルマインド 
広報部所属 デザイナー 島田

早坂光 さんのコメント...

島田さん。

お世話になっております。
KitMillとショップ、いつも楽しませていただいております。
専門家でなくても、モノづくりに関心を持つ人が増えると素敵だと思います。
コメントありがとうございます。