2013年1月6日

アナログとデジタル

アナログとデジタルとどちらが良いかという話をするつもりは無い。
どちらも利点と欠点があるし、使い分けるべきと思う。

今、3Dプリンタの造形品の仕上げをやっている。
(途中)
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ヤスリやデザインナイフや、ハンダゴテを使って、形状を整える。
うまく造形できていない部分は、盛ったり、削り出したりする。

これと同じことをやったことがある。
ジュエリー用のワックスを盛ったり削ったり。
プラモ用のパテを盛ったり削ったり。
似ているとか近いのではなく、全く同じだ。

気付いた。
この工程は、アナログでもデジタルでも完全に共通である。

 

アナログでワックスを削っているとよくあるのだが。
何かイメージと違い、チマチマやっていて収拾がつかなくなり。
四苦八苦したあげく、粉々に砕いて最初からやり直す。

デジタルの場合、それは画面の中でやっている。
新規作成。というやつだ。
画面の中でイメージを作っているから、造形品は同じものが出来る。
多少のずれはあっても、画面を見ながら修正することができ、造形まで行っていれば、根本から大間違いになることはあまり無い。
データを修正してやり直す場合も、ほぼ同じものを再現することができる。
(画面と実物のギャップはあるし、機械の調整は必要だ)

 

デジタルとアナログは”違う”

アナログのイメージ。
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デジタルのイメージ。
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アナログには2.3を含むが、デジタルでは2.30000001を切り捨てている。
私が思うに、アナログの中にデジタルがある。
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話を戻す。
今やっている造形の仕上げはアナログで。
それは、デジタル造形でも同じだから、こうなる。
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さらに、造形する前のアイディアやイメージは人依存であり、アナログである。
CADやペンタブを使う人間でも、最初は紙にグリグリ書いたほうが早いと知っている。
2D図面は印刷したほうが扱いやすいし、人と話すときは紙と鉛筆を使う。
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そうなると、デジタルはごく一部しか担えない。
アナログ造形はアナログだけで完結するが。
デジタル造形はデジタルだけでは完結しない。
一つの手段、道具、ツールに過ぎなくなる。

 

ただし、わざわざデジタルを選ぶメリットはある。

2.3は2.3であり、2.31でも2.29でもない。
それを明確に伝達できる。

デジタルを形式知、アナログを暗黙知と置き換えてみる。
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形式知とは、1+1=2のようにOOすればXXになる。というもので。

ソフトをインストールして同じ環境で使えたり、マニュアルや教本を読めば習得できたりするものだ。
ただし、それを行うのは人間であり多大なアナログを含むため、そうはいかない。
だから、デジタル造形といっても、アナログ、暗黙知がなければモノは作れない。

それでもデジタルを使うのは、形式知を広げることができるためだ。
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この広げる行為は、アナログ・デジタル両方を知らなければならず、人間にしかできない。
けれども、結果として、暗黙知を侵食しコモディティ化を引き起こす。
良い意味で楽ができる、悪い意味で金にならなくなる。
人間にしかできない行為によって、人間の仕事を減らしていく。

やはり、気になるのはそこ。
どうやって飯を食うのか。

 

暗黙知、人間にしかできない仕事はたくさんある。
けれど、これから形式知に侵されるものなのか、そうでないのか。
見極めなければいけない。

 

アナログは古いとかデジタルは悪いとか、そういう話ではなく。
何が価値なのか。を学ばなければいけない。

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