2014年8月24日

右から左に流すだけ

子供の頃、不動産や商社や小売はくだらないものだと思っていた。
何も生産しないで、右から左に流すだけ。
それよりも、新たに物を作り出す製造業がやりたかった。

 

だが、それこそモノづくりを誤解した考え方だ。
物だけを見て、作りを見ていない。
仏作って魂入れず。価値を見ていない考え方だ。

 

設備があれば職人は要らない。
絵があれば絵描きは要らない。
CDがあれば音楽家は要らない。
それと同じ、価値の在り処を誤っているのだ。

 

食べ物が余っている所から、不足している所に分けてあげれば。
その行いは価値がある。
余っている所、不足している所を調べる方法を提供すれば。
その行いは価値がある。
腐らせないように運搬する業者を見つけられれば。
その行いは価値がある。

 

価値=幸福。
お金や物体は器であり、見るべきはその内側にあるのだ。
だから、高品質低価格を大量に高速に効率良く作ったとしても。
組立ラインのアルバイトが嫌な思いをして、買ったお客様が喜んでくれなかったら。
世界全体の幸福は増えず、それは生産ではなく破壊なのだ。

 

サービス残業をしなければ潰れてしまう会社。
ミサイルを作らなければ雇用が賄えない国家。
それは、誰かの幸福を破壊して、他の誰かが幸福になる。
それこそ、本当の意味で右から左に流すだけ。
全体の幸福は増えず、限られたパイを奪い合う。
植民地や奴隷と同じなのだ。

 

私達は見て、気付き、変えなければならない。
子供の私が不動産の売買をくだらないと思ったように。
もしかしたら価値を、幸福を、誤って考えているのかもしれない。
進むべき道を、目指す場所を、間違ってはいけない。

 

さて。価値とは何だ。

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