2022年9月4日

私達とは何か

「私達」という言葉がある。
 
一人称、複数形。
それはおかしくないか?
一人称の「私」は一人であるが、それが複数形になっている。
二人称の「あなた達」を含んでいるのに、それを一人称と呼んでいる。
おかしい。
 
私達とは何だろうか。
例えば、会社の内側と外側を分けるもの。
チームや組織のような集団を1つの個体として、他と分けるもの。
集団と集団を対比するときに使う。
 
集団を1つの個体として扱うとは、どういうことか?
例えば、社員が入れ替わっても、同じ会社と呼べるだろうか?
会社を私達とするならば契約社員は含むだろうか?
労働組合が「私達は仲間だ!」と言ったとき、そこに契約社員は含むだろうか。
 
集団の中で意見が割れたとき、会議や選挙をする。
今日の夕食について。
ごはん派3、パン派2、蕎麦派1、パスタ派1、だとする。
半数以上が非ごはん派なのに、集団の総意を「ごはん派」とするには違和感がある。
「みんなの意見」は曖昧なもので、一度疑ったほうがよい。
 
集団の定義も、集団の総意も、曖昧なものである。
集団、みんな、会社、コミュニティ、これらが「私達」である。
帰属意識、宗教、国家も同様に「私達」であろう。
 
世界の人間は2種類しか居ない。
「私」と「私以外」だ。
それは明確な線引きができる。
しかし、「私達」と呼んだ途端、定義が非常に曖昧になる。
 
私達とは何だろうか。

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